断面1次モーメントと図心.PDF

材料力学講義(4) 断面１次モーメントと図心 今日は，曲げモーメントによる応力や断面２次モーメントの計算に必要となる図心位置 の計算法について勉強します。 図心の計算には，断面１次モーメントという断面に関する定数が必要になります。 1 曲げモーメントから応力を求める ためには？ M σ y I y は中立面からの距離 断面２次モーメント 2 I ∫∫S y dydz 前回，曲げモーメントによる応力の求め方について学びましたが，曲げモーメントによる 応力は，中立軸からの距離に比例して大きくなります。 また，曲げに対する剛性に関係する断面２次モーメントも，中立軸からの距離の2乗を積 分することによって求められる定数でした。 したがって，曲げに対する応力や剛性を求めるためには，部材断面の中立軸の位置を 求める必要があります。 ここでは，断面の“中立軸”，部材の“中立面”という言葉を憶えてください。 2 中立軸って何？ 図心を通る主軸方向の軸 中立軸 断面の図心 中立軸というのは，断面の図心（重心）をとおる軸のことです。 ただし，図心を通る軸は沢山ありますが，その内，最も大きい断面２次モーメントと最も 小さい断面２次モーメントが求まる軸を“主軸”とよびます。 すなわち，中立軸は，断面の図心を通る主軸に一致します。 したがって，中立軸を求めるには，まず，断面の図心の位置を求める必要があります。 今回は，この図心の位置を求める方法について学びます。 ここでは，“図心”という言葉と“主軸”という言葉を憶えてください。 3 図心と重心は似ている 重さが均等なら糸を 吊して傾かない点 が図心であり重心 図心というのは，重心とほとんど同じ概念です。 ただ，断面には重さがないので図心と呼んでいるだけです。 重心は，重さの不均衡による回転が生じない点です。 もし，断面に重さがあるとすれば，図心に糸を吊した場合，回転が生じない点ということ になります。 4 重心ならモーメントと関係してい ることは直感的にわかる l l 1