教育心理学科設置の趣旨.pdfVIP

教育?心理学科設置の趣旨 １．大谷大学の現況 大谷大学は、明治 34 年東京巣鴨に真宗大学を開設して以来、一貫して人間に関わる事項を その学問?教育の対象として取り扱ってきました。当時の初代学監であった清沢満之はその「開 校の辞」において?本学は他の学校と異なりまして宗教学校なること殊に仏教の中に於いて浄 土真宗の学場であります。即ち我々が信奉する本願他力の宗義に基づきまして我々に於いて最 大事件なる自己の信念の確立の上に其信仰を他に伝える即ち自信教人信の誠を尽すべき人物を 養成するのが本学の特質であります?と述べていることからも、このことは明らかと言えるで ありましょう。 昭和２４年、新制大学となった際も文学部の単科大学として、学則には?本学は教育基本法 及び学校教育法の定めるところに従い、仏教の精神に則り、人格を育成するとともに、仏教並 びに人文に関する学術を教授研究し、広く世界文化に貢献することを目的とする?と謳い、仏 教学科?哲学科?史文学科の３学科をもって出発しました。その後昭和４０年には真宗学科? 社会学科?史学科?文学科を設けて６学科となし、その後平成５年には国際文化学科、平成１ ２年には人文情報学科を設けて現在に至っています。 この間、一貫して自己の立脚地をあきらかにし、「人間とは何か」を追求することを大学全体 の基本理念としてきたことは先に述べた通りであります。 また、同一の学校法人の経営にかかる大谷大学短期大学部においても、仏教科、文化学科、 幼児教育保育科を設置して同様の教育を実施してきました。 文学部の８学科においては、サービス業?小売業?製造業などに就職する者が多い状況にあ りますが、教育?公務員関係に就職を希望する者も多く、従来、中学校?高等学校の一種教員 免許状を取得せしめる課程をおき、博物館学課程?図書館司書課程?社会教育課程などと共に 就職の支援としていると共に、本学の教育目標の一つとして据えています。 ２．教育?心理学科の特色 今回、大谷大学文学部に「教育?心理学科」を新たに設けることとします。 大谷大学初代学長清沢満之は、大谷大学の特質を「本願他力の宗義に基づき」「自己の信念の 確立」を目指すところにあると述べられました。これを受けて第３代学長佐々木月樵は、大谷 大学の目標を、１．仏教の学界への解放、２．仏教を教育からして国民に普及する、３．宗教 的人格の陶冶、と具体的に示されています。 これまで大谷大学は、この清沢?佐々木両先生の言葉を建学の精神として、大学教育を進め てきたのであります。ことに、佐々木月樵のいわれる２と３との面においては、まず大学内で 必修の宗教科目（総合?人間学）を設けて学生自身を教育してきました。それと同時に、中学 校?高等学校の教職課程を設け、大谷大学で育った宗教的情操を備えた学生が、中?高の教員 として活躍することを通して、これを実現しようとしてきたのであります。 しかし、現在の教育界を鑑みると、中学校?高等学校での教育の荒廃（例えば、いじめ?不 登校?学級崩壊?学力低下など）は、小学校へと及んでいると言わざるを得ないものがありま す。こうした情況を解決するためには、大谷大学が宗教的情操を備えた小学校教員を育て、生 徒の目線にたった教育を行うほかないと考えられます。生きることの喜びと他者を思いやる心 を持った子どもたちを育てることが肝要であると言えます。そのために、本学が永年蓄積して きた心と向き合う教育こそ必要なものであると言えましょう。また、社会からもそうした要請 が強まっていると言わざるを得ないものがあります。 小学校の教室で直接的な宗教教育を行うことはできませんが、宗教的情操を備えた教員の言 葉や行動は、自ずと生徒の心に大きな影響を与えると考えられます。それは、第三代学長佐々 木月樵の「教育は常に宗教を俟つて真実の人格を作る」という言葉とも一致するものでありま す。こうした教育のあり方を、大谷大学は「こころの教育」という言葉で表現しようとしてい るのであります。 そこで、大谷大学の従来の教育において蓄積してきた「人間を見つめる眼差し」を育成する 教育の下地を活かし、大谷大学に教育系の学科を開設し、初等科の教職課程を設け、この「こ ころの教育」を社会に押し広めていきたいと考えています。従来の中等教育課程に対する考え 方と連携して、初等教育に携わる教員を養成して行きたいと考えています。 同時に、現在の教育においては、児童の心の悩みを解きほぐしていくための、カウンセリン グなど心理学的な素養も求められているといえます。そこで、この新学科には、教育学コース と心理学コースとを併置するこ